すると、結局君は
「すると、結局君は、この暗合を、この人を見よ――と解釈するのかね」
「いやどうして、それは自然のままにして、しかも流動体なり――さ」と法水はあっけなく云い放って、その突然の変説が検事を驚かせてしまった。「無論そうなると、あの三人は、完全に僕の指人形になってしまうのだよ。いまに見給え、あの三匹の深海魚は、きっと自分の胃腑を、僕の前へ吐き出しにくるに相違ないのだから」とそれから法水は、彼が演出しようとする心理劇が、いかに素晴らしいかを知らせるのだった。「そこで、僕がデシル法を譬喩にした本当の意味を云うと、それが、旗太郎と提琴との関係にあったのだよ。君は気がつかなかったかね。あの男は左利にもかかわらず、現在弓を右に、提琴を左に持っていたじゃないか。つまり、それがデシル法の、左から右へ――の本体なんだよ。しかし支倉君、まさかにその恒数が、偶然の事故じゃあるまいね」Photographs depicting the future storage